2018年1月26日におこった、コインチェックとNEMの事件は仮想通貨世界に大きな衝撃を与えました。
この事件での被害総額は580億円規模。今までの仮想通貨ハッキング事件は数多くありますが、1つの事件での被害総額としては最大規模になります。この事件発覚後、1か月でいったいどのような変化があったのでしょうか。確認してみましょう。
目次
コインチェック事件の概要と流れ
コインチェック事件が起こったのは2018年1月26日。被害総額は580億円。とんでもない被害総額となっていますが、起こった理由はホットウォレットでNEMを保管しており、加えてマルチシグをまだ使っていなかったという、非常にお粗末なあらましとなっています。
マルチシグは、ビットコインの開発者やその他仮想通貨を知っている人なら、誰もが推奨するセキュリティ対策。マルチシグを利用していないという点だけでも、多くの仮想通貨プレイヤーを唖然とさせたのではないでしょうか。
この事件の後、コインチェックから円、つまり現金が引き出せないという形になりました。一種の銀行口座封鎖と同じような状況です。
コインチェック事件の後も仮想通貨の値は上がったり下がったりしていたので、多くのプレイヤーが損をするという状況になっていると思われます。コインチェックは仮想通貨FXも提供していたため、損切りすることが出来ずいわゆる「追証」によって、入金だけをしなければならないようなプレイヤーも出てきました。
このような騒動の後、2月13日にようやく円がコインチェックの口座から引き出せるようになりました。
また、このときの記者会見ではコインチェックは今後も仮想通貨取引所を続けるというアナウンスもありました。
金融庁の立ち入り調査などを経ても、まだ取引所として運営可能なのかどうかについては議論の余地が大いにあります。
コインチェックはしっかりと返金できるのか
2月13日にコインチェックは金融庁に対して業務改善計画を提出するとともに、日本円の出金を再開しました。
同日20時、大塚取締役が記者会見を行い、「補償の目途は立っている」「顧客の資産は分別管理できている」「セキュリティ会社とひとつひとつ確認して、送金と売買を再開する形で順次進めていきたい」などと話しました。
一応トップ判断としては返金の可能性が提示されましたが、今後どうなっていくのかについては、2月2日の金融庁の立ち入り検査で「いくら話を聞いても、どういう人間がどういうセキュリティーを動かしているのか全然わからない」という発言があったように、まだまだ楽観視できないといえるでしょう。
コインチェックが提訴される?
このコインチェックの事件については、2018年2月15日に弁護士団から提訴されています。
コインチェックのサービスを通じて仮想通貨を取引していた7人のプレイヤーが東京地裁に訴えを起こしたというのです。この7人が返還を求めている金額は約1953万円。意外と少ないな?と感じる人が多いのではないでしょうか。
一方で、2月13日に日本円での出金を解放したコインチェックは、1日にだいたい400億円程度を出金したと発表しています
日本ではあまり裁判沙汰にすること自体がナンセンスという視点があるので何とも言えませんが、もしこれが訴訟大国のアメリカだったとしたらどこまで訴訟額が膨れ上がっていたのか想像もできません。
ただ、これも1次提訴であり2次提訴の段階でどこまで膨れ上がるかはわからないでいます。もしかしたら、この1次提訴の流れが非常にスムーズに返金できるようであれば、2次提訴の数は確実に多くなるでしょう。
みなし事業所という問題
金融庁は、証券会社を含む金融商品を取り扱う企業に対して一種の規制を行っています。
金融庁に届け出を出す必要があるというのもこの1つです。
金融庁は仮想通貨取引所における許可は、「免許制」ではなく「登録制」を採用しました。登録制では、業界の自主規制に期待し、金融庁の審査も緩い形になっています。
これは仮想通貨市場というものが、十分に成熟した市場でないものの、規制や監督が成長性を妨げる可能性が大きいという判断です。
しかし、今回のコインチェック事件ではこれが完全に裏目に出てしまいました。
今後、金融庁は仮想通貨取引所に対しての規制を強くするのではないかといわれています。
確かに、プレイヤーのお金は自分のお金であり自己責任だと断じることはできますが、セキュリティの不備による窃盗などについては、やはり国としても一定の責任を否定できなくなってしまいます。自主規制と法令という形が上手くいかなかったため、今後の仮想通貨取引所の動きは制限されてしまうでしょう。
コインチェック事件が生み出したもの
コインチェック事件が生み出したものは、全体的に仮想通貨に対する不信そのものであったといえるかもしれません。
しかし、そもそもコインチェック事件は、コインチェック社のセキュリティ問題が中心。
仮想通貨自体についてはほとんど問題になっていません。
それでも、仮想通貨の取引にネガティブな発言は生まれてしまうでしょう。コインチェック社は今後、国内商社などと提携することで運営を続けていきたいと考えているようですが、果たしてそれはうまくいくのでしょうか?
まだまだ目が離せない事件といえるでしょう。
それでは本日も記事を読んでいただきありがとうございました!
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